著者の最新の研究成果を集成した部分と、少年時代から現在にいたる折々の感想文を摘録した部分とから成る。第一部「王朝かな書き資料への照明」は、平安宮跡出土土器、斎宮跡出土土器、醍醐寺五重塔落書に書かれた平安時代のかな書き資料を判読し読解したもの。それぞれ二、三十年も国文学界から放置されていたものを、初めて内容に踏み込んで解明した。平安初期当時の現物に挑戦する感激が伝えられ、和歌読解の方法としても学ぶところが多い。第二部「王朝文学考」は第一部に共通するよう実証的内容の未収録論文二篇と和泉式部論書評三篇とを収めたもの。「歌学書版本の版行事情をさぐる」「きぬぎぬの歌」の二論文である。第三部「随想録―王朝文学研究とわが人「生」―」は、少・青年時代の歌の思い出から、平安和歌研究を志して現代にいたる長い体験史の折々の感想を並べたもの。国文学研究のあり方や東西国文学者の比較論なども率直に書かれている。
☆日本図書館協会選定図書☆
ISBN:978-4-7576-0609-8 C1395 |
おうちょうぶんがくのきそう 和泉選書170 王朝文学の基層 - かな書き土器の読解から随想ノートまで |
定価(税込) : ¥2,750 |
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著作者よみ : | ふじおかただはる |
著者名 : | 藤岡忠美 著【著書を検索】 | |
出版社 : |
和泉書院
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発売日 : | 2011年12月20日 | |
ジャンル : | 日本文学研究全般 | |
判型四六判/224頁 |
目次
一、王朝かな書き資料の読解斎宮跡出土かな書き土器と難波津の歌
平安宮跡出土墨書土器和歌を読む
醍醐寺五重塔の落書きの和歌
二、王朝文学考
歌学書版本の版行事情をさぐる―袋草紙版本幻想―
きぬぎぬの歌
寺田透氏の『和泉式部』
清水文雄氏の『和泉式部研究』
久保木寿子氏の『和泉式部』
三、随想ノート―王朝文学研究とわが人「生」
思い出のなかの歌
伊予の松山兄妹心中
平安和歌を志したころ
風巻さんのフィクション
「と」の論理
国歌大観と……
日記のフィクション
王侯の感覚
和泉式部の情愛
『私家集大成』和泉式部集?Tの本文
幻の榊原本和泉式部集
檀(まゆみ)の紅葉
『袋草紙考証』のこと
『古今和歌集連環』のこと
神戸平安文学会を終えて―関西人と関東人と―
墨染めの桜―神戸大震災と源氏物語―
西村加代子さんと『平安後期歌学の研究』
和泉式部日記冒頭歌の解釈
和歌考古学?―私の最近の研究と亡妻のこと―
あとがき
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