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ISBN:978-4-7576-0947-1 C3321

にほんこだいのしそうとてんのう

日本史研究叢刊35 日本古代の思想と天皇

定価(税込) : ¥9,350
表紙 著作者よみ : みずたにちあき 
著者名 : 水谷千秋 著著書を検索
出版社 : 和泉書院 近刊を見る】【新刊を見る】 【出版社web
発売日 : 2020年4月7日
ジャンル : 日本史(古代)
判型A5/378頁
『継体天皇と古代の王権』に続く、著者二十年ぶりの第二論文集。新稿二編を含む十五編の論文から成る。テーマは五、六世紀の大王系譜の分析から七、八世紀の日本古代のイデオロギーに及ぶ。七世紀から八世紀にかけての律令国家の形成期に、国家のイデオロギーとなる思想が如何にして形成されたか。具体的には神話と神祇祭祀に基づく皇孫思想と、外来の儒教思想(天命思想、徳治思想、中華思想など)、仏教思想が、互いに影響を与えながらイデオロギーとして形成されていった過程を解明する。
また朝廷を二分した壬申の乱を、その後の天皇や豪族たちはどのように捉えたか。これを承けて成立した八世紀の天智天皇観、天武天皇観とはどのようなものであったか。『古事記』は、また『日本書紀』は如何なる論理で天皇による国家統治を正当化しようとしているのか。広く日本古代の思想史、政治史に関心を抱くすべての研究者、市民必読の著者渾身の論文集。

目次



第一部 日本古代における天命思想

 第一章 古代天皇と天命思想―七世紀を中心として―

  はじめに
  
  一 天智天皇と天命思想
   1 乙巳の変と天命思想
   2 天智と天命思想
   3 『懐風藻』にみる天智天皇観
   4 亡命百済貴族の役割

  二 天武と天命思想
   1 天武の「革命」と祥瑞
   2 天武・持統と災異思想

  三 天武天皇と皇孫思想
   1 『天孫降臨神話』
   2 神話の成書化

  四 大宝〜養老期の思潮と『日本書紀』
   1 災異思想の国家的受容
   2 『日本書紀』に反映する八世紀初頭の天命思想
   3 大宝〜養老期の思潮

  むすび

 第二章 『日本書紀』における「天命」について
      ―「ことよさし」との関連から―
    
  はじめに
  一 『日本書紀』の「天命」の用例
  二 「よさし」について
  三 「天命」と「よさし」
  四 「孝徳紀」の二つの記事
  むすび

第二部 『日本書紀』の伝承と外来思想

 第三章 綺戸辺の伝承と三尾氏―神話伝承と祥瑞思想―
   
  はじめに
  一 三尾君と石田君
  二 水神の化身としての亀から祥瑞としての亀へ
  むすび

 第四章 天之日矛と渡来神の伝承―朝鮮系神話の受容について―
   
  はじめに
  一 八種の伝承の整理
  二 伝承の形成
  三 渡来神から天之日矛へ
  四 朝鮮系神話との関係
  五 王化思想の影響
  むすび

 第五章 『日本書紀』における孝と忠
      ―「顕宗紀」と「孝徳紀」の所伝について―
    
  はじめに
  一 『記』・『紀』の比較
  二 思想的背景の差
  三 父子関係(孝)と君臣関係(忠)
  四 蘇我倉山田石川麻呂事件の「孝」と「忠」
  むすび

第三部 五、六世紀の大王系譜の諸問題

 第六章 『宋書』倭国伝の珍と済の続柄について

  はじめに
  一 笠井論文の百済王系譜理解について(一)
  二 笠井論文の百済王系譜理解について(二)
  三 続柄が記されない王の系譜
  むすび―なぜ珍と済の続柄がないのか―
 
 付論 『上宮聖徳法王帝説』の「無雑他人治天下也」について
 
 第七章 「上宮記一云」の成立と継体天皇
   
  はじめに
  一 「上宮記一云」の成立時期について
  二 「上宮記一云」の原史料について
  三 「上宮記一云」と三尾氏
  四 「上宮記一云」と越前
  五 継体と三国氏
  六 継体畿内出身説の検討
  むすび

第四部 『日本書紀』と七世紀の天皇

 第八章 吉野盟約と天智系皇族
    
  はじめに
  一 盟約の主目的は何か
  二 河嶋皇子と芝基皇子
  三 なぜ天智の遺児が参加したのか
  むすび

 第九章 『日本書紀』の天智天皇観
   
  はじめに
  一 『日本書紀』の中大兄皇子像
  二 『日本書紀』の天智天皇像
  三 天智と大海人皇子の最後の会話
  むすび

 第十章 天智朝の後宮と壬申の乱
   
  はじめに―大友皇子の最期―
  一 大津宮を脱出した女性
  二 「持統万葉」と壬申の乱
  三 倭媛皇后と蘇我遠智娘
  四 壬申の乱と女性たち
  むすび

第五部 八世紀の思想と天皇

 第十一章 不改常典と『日本書紀』の思想
  はじめに―『日本書紀』にない天智の詔―
  一 皇位の直系継承と不改常典
  二 もうひとつの不改常典
  三 不改常典と近江令
  四 『日本書紀』と不改常典
 
 第十二章 皇孫思想と天命思想の形成について
       ―七、八世紀の思想と天皇―
 
  はじめに―天命思想と皇孫思想―
  一 「いや継ぎ継ぎの皇孫思想」と「よさしの皇孫思想」
  二 孝徳詔にみえる皇孫思想と天命思想の古型
  三 「天地之心」と「天神地祇」
  四 「よさし」と稲の起源神話

 第十三章 古代天皇と仏教の思想
       ―イデオロギーとしての仏教について―
    
  はじめに
  一 蘇我氏から天皇へ―外護者の交代―
  二 七世紀後半の天皇と仏教
  三 『日本書紀』と仏教
  四 仏教による天皇の権威化・正当化
  五 むすび―『日本書紀』と仏教と天皇―

 終章 日本古代の思想と天皇

初出一覧
索引
 事項索引
 研究者名索引
あとがき

著者略歴

1962(昭和37)年 滋賀県大津市出身。
1986年 龍谷大学文学部史学科卒業。
1992年 龍谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得により依願退学。
2002年、皇學館大学より、博士(文学)を授与。
専攻 日本古代史
現在 堺女子短期大学図書館長・教授
著書 『継体天皇と古代の王権』(和泉書院 1999年)他

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