シェイクスピア没後４００年の記念すべき年に、日本人が《シェイクスピア》に向きあう意味を改めて問いなおす。『じゃじゃ馬馴らし』、『タイタス・アンドロニカス』、『ヴェニスの商人』、『リア王』、『終わりよければすべてよし』などの作品から、日本の「新しい女たち」、島村抱月の改作『クレオパトラ』、さらには夏目漱石の『虞美人草』や『夢十夜』などのテクストを分野横断的に論じていく。

目次

はじめに
序
第一章 『じゃじゃ馬ならし』における消費の美学― エリザベス朝バンケット、家政学、カントリー・ハウス文化
第二章 人頭パイの料理文化史的考察― 『タイタス・アンドロニカス』の場合
第三章 “Your fortune stood upon the caskets there”(三幕二場二〇一行)― 『ヴェニスの商人』における 「三つの小箱 (casket/chest) 選び」の文化的背景とエンブレム的解釈の新たな可能性
第四章 第1四折本(Q1)『リア王』における悪魔祓いとジェンダー・クライシス
第五章 「貞操の外に生きる事」― ヘレナ(『終わりよければすべてよし』)と日本の「新しい女たち」
第六章 島村抱月改作『クレオパトラ』(一九一四年)のロケーション― 混血と同化、矛盾の政治学
第七章 〈退化論幻想〉としての『虞美人草』― 藤尾の死/処刑の条件
第八章 豚/パナマ/帝国の修辞学― 『夢十夜』第十夜
註
あとがきにかえて― ポストコロニアル・クレオパトラ

著者略歴

早稲田大学第一文学部卒、青山学院大学大学院文学研究科博士前期 課修了、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期 退学、ロンドン大学大学院バークベック校卒 (PhD)。現在、天理大学国 際学部准教授。
主要業績:『エンブレムの諸相』(共著、七月堂、2015 年)、『イメージの劇 場:近代初期英国のテクストと視覚文化』(共訳、英光社、2014 年)、『こ とばと文化のシェイクスピア』(共著、早稲田大学出版会、2007 年)、『女
性・ことば・ドラマ─ 英文学からのアプローチ』(共著、彩流社、2000 年)。