1936年1月20日深夜、イギリス国王ジョージ5世は死去した。
「国王、死去。新国王、万歳」。すべては関係者の予期したところに従い、ことは粛然と運ばれたかのようにみえた。しかし、その死因は実のところ安楽死であった。長年秘密似られてきたこの処置は、『タイムズ』の締め切り時間がもたらした決断だったのだ――。
あるいはまた、ジョージ5世の跡を継いだエドワード8世の「王冠を賭けた恋」は、膨大な大衆市場に支えられたメディアによって、大英帝国の深部を直撃することになった。
マス・メディアと、大衆化に苦労したイギリス王室。切っても切れなかったその関係と暗闇を、関係者の声をまじえて描いた、イギリス王室研究者による迫真の歴史ルポルタージュ。
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